燃費を決めるのはエネルギーの無駄
車が燃料を使うのは、車体を動かし、空気を押しのけ、タイヤと路面の抵抗に打ち勝つためです。ところが運転中には、せっかく生み出した運動エネルギーをブレーキで熱として捨てる場面が少なくありません。急に加速して信号の手前で強く止まれば、加速に使った燃料はそのままブレーキパッドの熱になります。燃費運転の核心は、この無駄を減らすことです。同じ車、同じ道でも運転する人によって燃費が大きく違うのはそのためです。特別な装置や添加剤より、習慣を変えるほうが確実で、お金もかかりません。
穏やかな発進と早めの減速
発進ではアクセルをゆっくり踏んで速度を上げ、前方の信号が赤に変わったり渋滞が見えたりしたら、早めにアクセルから足を離しましょう。今の燃料噴射式エンジンは、ギアが入った状態でアクセルを離して惰性で走ると、燃料の噴射を減らすか止めるように作られています。遠くから惰性で近づき、最後に軽くブレーキをかけるほうが燃料も節約でき、ブレーキも減りにくくなります。そのためには車間を十分にとり、二、三台先の流れまで見る習慣が欠かせません。
- 発進はゆっくり、無理なく目標の速度まで
- 遠くに停止信号が見えたら早めに足を離す
- 車間を広くとって急ブレーキを減らす
- 下り坂をニュートラルで下らない
速度と空気抵抗
車が受ける空気抵抗は速度の二乗に比例して大きくなり、それに打ち勝つための力はさらに急に増えます。だから高速道路で少し速く走るだけで、思った以上に燃料を使います。最も効率のよい速度は車によって違いますが、一定の速度で淡々と走ると燃費はよくなりがちです。定速走行装置があれば、平坦な高速道路で使ってみる価値があります。ただし上り坂の多い道では、速度を保とうとして加速が増えることもあるので、状況に合わせて使いましょう。屋根の上の荷物箱やキャリアも空気抵抗を増やすので、使わないときは外しておくのが得策です。
アイドリングと暖機
止まっているのにエンジンがかかっていれば、燃費は実質ゼロです。人を待つ間や荷物を積む間にエンジンをかけっぱなしにする習慣は、燃料をそのまま燃やしています。多くの自治体が条例でアイドリングを制限しているので、住んでいる地域の決まりも確かめておきましょう。長い暖機も、今の車ではたいてい必要ありません。エンジンをかけて少し待ち、最初の数分を穏やかに走るほうが、エンジンは早く適温になります。厳寒期の暖機のしかたは車種によって違うことがあるので、取扱説明書の案内に従うのが確実です。
重さと空気圧
トランクに積みっぱなしの荷物は、加速のたびに車を重くし、燃料を余計に使わせます。使わない運動用具や工具、飲料水の箱は片づけておきましょう。タイヤの空気圧が足りないと、タイヤが路面に広くつぶれて転がり抵抗が増え、燃費が落ちるだけでなく、側面が傷んだり制動の性能が下がったりすることがあります。空気圧は月に一度ほど、タイヤが冷えた状態で、運転席ドアの内側にあるラベルの値に合わせてください。詳しい確かめ方はタイヤ空気圧の記事にまとめました。
エアコンと窓
エアコンはエンジンの力を借りて動くので、燃料を余分に使います。かといって、切って窓を開けるのがいつも得とは限りません。低速の街中では窓を開けるほうが有利なこともありますが、高速では開いた窓が空気の流れを乱し、抵抗を増やします。夏は走り出してすぐ窓を少し開けて車内の熱気を逃がし、それからエアコンをつけると冷房の負担が減ります。なにより、暑さで運転する人が疲れると集中力が落ちるので、燃費のために冷房を我慢することはおすすめしません。
自分の燃費を測る方法
メーターの平均燃費表示は便利ですが、誤差があることもあります。より正確に知りたければ、満タンにしてから区間距離計をゼロに戻し、次に満タンにしたときの給油量で走った距離を割ります。これを何回か繰り返すと、運転の癖を変えた効果が数字で見えてきます。月の走行距離と燃費がわかれば、燃料費計算ツールで月々の燃料代も見積もれます。カタログ燃費は決められた試験条件で測った値なので、実際の道路と差が出るのは自然なことです。
- 満タンにして区間距離計をリセットする
- 次の満タン時に給油量を記録する
- 走行距離 ÷ 給油量 = 実際の燃費
- 何回か繰り返して平均を見る
燃費より安全が先
燃費を意識しすぎると、流れより極端に遅く走ったり、下り坂でギアをニュートラルにしたり、前の車にぴったりついて風の抵抗を減らそうとしたりする誘惑が生まれます。どれも危険です。ニュートラルでの走行はエンジンブレーキを使えなくし、詰めすぎた車間は追突事故につながります。燃費運転の基本は、結局のところ余裕のある車間距離と先を読む運転であり、それは安全運転と同じ方向を向いています。道路の状況が危ないときは、燃費のことは忘れて安全な速度と距離を守ってください。
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